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薬膳・漢方1

Introduction  漢方・薬膳について学ぼう

漢方・薬膳についての知識を得る 薬膳漢方マイスター資格

この講座は漢方・薬膳について学び、薬膳漢方マイスター資格を取得するための手助けとなるものです。

皆様の中に漢方・薬膳と聞いて「数が多い」「ややこしい」「味が美味しくない」などとネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃると思います。たしかに数は多いし、似た種類の物もあり、「良薬は口に苦し」と言わんばかりの漢方も存在します。

ですがそれは長い時間と労力が積み重なり、現代まで語り継がれてきた努力の賜物でもあるのです。そして上記のイメージと同じく、皆様が思い描く共通のイメージがまだあります。「体に良い」という点です。

このイメージ通り、漢方や薬膳は元々「病気を予防する」という中医学の思想に基づいて研鑽を積まれて来ました。健康な体をより健康なものへと昇華させようとする働きを悪いと感じる人はいないでしょう。

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知識を得ることへの不安

上記の内容から体に良いのは分かっていただけたかと思います。

しかし今から知識を蓄えるのが面倒、もし間違って体に悪影響を与えたら怖い、と言った不安の声もあるでしょう。ならばなおのこと、今回の講座で知識を得たほうがよろしいと考えます。

現在日本はスーパーやコンビニに行けば大抵の食材が手に入り、その上ネットを使えば普段目にしないような食材を手に入れることが出来るほど物に溢れかえっています。

ここ最近のダイエットブームや健康食ブームを取り入れて体に良い食材、新鮮な食材をお選びになる方がいるかもしれません。確かにそれもよろしいですが、ここは漢方や薬膳の知識も取り入れてより良い食材選びを心がけませんか?

食材はどうやって手に入れる?

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ここで張り切って知識を学び、普段の買い物に一手間加えていただこうと思うのですが、中にはこう考える方もいらっしゃると思います。

「漢方に使われる食材なんてそうそう手に入らない」

しかしそこは心配御無用!

なにも漢方というのは中国の食材のみでしか発揮されないものではなく、意外にも薬膳料理に扱われる食材は普段行かれるスーパーなどに散らばっているのです。

たとえばピーマン玉ねぎナスといった日常に溶け込んだ野菜や、中国を感じさせないトマトレモンも薬膳の食材として扱われています。

また後々紹介させていただきますが、この少しだけの紹介でも漢方や薬膳の難しさが緩和されたと思いませんか。

薬膳漢方マイスター資格取得講座とは

漢方・薬膳の知識を得たい

中医学の勉強に取り入れたい

健康な食事で健康な体を作りたい

などなど、このような思いを抱いていたり上記の説明で少しでも興味がわいた方には、ぜひ取得していただきたい資格です。ただ資格を取得するだけならば数多の資格が存在しますが、取得と同時に私生活にも取り入れることが出来る資格は数が限られてきます。

日々を健康に過ごし、より良い生活を送るためにもこの講習を学んでみませんか?

Lesson01 漢方と薬膳の基礎知識

漢方の成り立ち

漢方や薬膳のことについて学ぶ前に、まずは根底の部分から説明していきます。

漢方の歴史は古く、最も古いものだと今から約4000年前の『夏』の時代から始まったと言われています。そこから少しずつ医学が発展して行き、『漢』の時代に成立した『黄帝内経(こうていだいけい)』『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』の三書が漢方の基礎となって成長し続けてきた古代中医学です。基本概念は生命力、つまり自然治癒力を高めることで病にかからない体を作ることにあります。早い話、健康な体を作って予防しようという考えなのです。

三書

漢方がもたらす効果

効果については今まで申してきたように、体の生命力を上げて予防することが基本になります。しかし漢方のすごい所はその予防、治療する病種だけでなく性別、年齢、季節などさまざまな要素を組み込んで最適の漢方を探し当てることにあります。

中医学の古典には「上工治未病」(名医は未病を治す)という言葉があり、体から出てくる些細な違和感を察知し病気が発症する前に未然に治す最高の名医、という意味です。漢方はまさにそういった考えのもと編み出されました。

漢方と薬膳の違い

これまで漢方・薬膳と続けて表記して来ましたが、詳しく説明すると2つは全く別物なのです。

漢方は漢方薬だけではなく、鍼灸、あんま、気功、薬膳など『医学』『薬学』『養生学』の全てを含んで『漢方』という意味を成しています。

一方薬膳は漢方の理論を基にして体質や症状、体調、季節などを考慮して食材を選び、レシピを作り上げること、つまり料理をすることなのです。

薬膳にすることでの利点

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「漢方の理論に基づいて作り上げたのなら、わざわざ料理にしなくて薬のままでも良いんじゃないのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし『日々の生活は食事から』『薬も度が過ぎれば毒となる』などと耳にした事がある言葉のように、毎日取る食事だからこそ目をつけたのです。いくら予防するための薬とはいえ薬である以上効果は強く、毎日取り続けては体に害が及んだり薬の免疫が出来てしまう可能性もあります。

その点薬膳なら漢方薬ほど効果が強くないですが、効用を持っている食材を使って体に良い食事を作れます。さらに飽きが来ても使用する食材さえ分かっていればメニューや調理法のアレンジも可能になります。薬剤師が調合した万人受けの薬ではなく、食べてくれる人に合ったオーダーメイドの薬膳を作れることも利点の1つです。

これで一通りの基礎知識は終わりました。次はもう少し深く学習して行きましょう。

Lesson02 漢方・薬膳の歴史

漢方の発祥とその生い立ち

Lesson1でも説明したとおり、漢方の歴史は古く約4000年前から生まれたと考えられております。まずは発祥の時代、『夏』の時代から出発して行きましょう。

原始社会から脱却し、中国の歴史上で最初の国家である『夏』が誕生した時代。さすがに漢方のような複雑なものがすぐに発展したわけではありませんが、穀類から作り出したがこの時代の薬となり、漢方への第一歩となりました。

貨幣や文字が生まれ、社会の発展が進んだ『商(殷)』の時代。この時代から中華料理の代名詞でもある火を巧みに操ることができ、ある料理人がスープから中薬の煎じ方を考案して煎じた『湯液(とうえき)』を開発しました。さらにこの時代から病名灸、針、按摩(あんま)術、薬物を用いた治療が生まれ、中医学の急成長が始まります。

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『夏』の時代から約1000年経った『周』の時代。この時代から医療各分野に制度が設けられ、「医師(医療法律や政策を担当する管理職)」「食医」「疾医(しつい)」「瘍医(えきい)」「獣医」の分野が誕生しました。そして時が進むにつれて『山海経(せんがいきょう)』『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』『五十二病方(ごじゅうにびょうほう)』などの医学書が生成されます。その中でも『黄帝内経』という書物は中医学の理論体系の基礎を作り上げ、中医学の経典とも呼ばれています

そして漢方にとって最も関係がある『漢』の時代。この時代に中国で最初の薬学専門書『神農本草経』中医臨床の弁証論治の基礎を定めた『傷寒雑病論』の2つが誕生しました。この2つに加え前の時代に誕生した『黄帝内経』の三書が漢方の基礎を作り出したのです。この発展により東洋医学という独特な理論体系が生み出されました。ちなみに少し余談ではありますが、三国志にも登場してくる華佗により麻酔作用のある「麻沸散(まふつさん)」が作られたのもこの時代です。

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そしてより発展して行った中医学は文化や宗教などと共に広がって行き、日本にも7世紀初めの遣隋使派遣以降、仏教と共に伝わって来ました。最初は中医学の真似事をしていましたが、場所が変われば扱う材料も気候も変わるため徐々に日本風の医学へと変貌して行きました。

薬膳としての歴史

薬膳という言葉自体は430年頃に作られたと考えられる『後漢書(ごかんじょ)』に初めて記載されていました。しかし薬膳の歴史として見るともっと昔の『商』の時代の料理人「伊尹(いいん)」が有名です。上記の『湯液』を開発したのも彼で中華料理の第一人者とも呼ばれ、料理のコツを国の統治と関連させて料理人から政治家へと転身した経歴も持っています。それと『夏』の時代に飲用だけでなく治療にも使用していた酒も薬膳の元祖と言えなくもありません。

Lesson03-1 漢方の基本理論ー気血水

漢方のベースとなる考え

漢方は多種多様な薬物、食物が存在しますがどれも漢方のベースとなる考え、ルールにのっとって定められたものなのです。Lesson3では3つに分かれてそれぞれの考え方を学んで行きましょう。

気血水とは?

まず初めに『気血水』について学びましょう。

気血水』とは体を構成する要素、つまりこの3つが合わさることで人の体を表しているのです。

』は生命力、『(けつ)』は血液とその働き、『(すい)』は血以外の体液のことを指します。この3つの要素が支えあいバランスを保った状態を健康な状態と考えられています。逆にどれか1つでも不調が見られバランスを崩すと体から症状など何らかのサインが現れます。

なので漢方はこの不足した要素の補充やエネルギーの循環を正常にさせることで健康な体を作ろうとしているのです。

『気』について  『気虚』『気滞』

『気』は生命力、生きる力、生命エネルギーなどと呼ばれ、目に見えない人間の原動力として扱われ体温の調整も担っています。いわゆる元気、根気、気力などのことを指します。

そしてその『気』が不足している状態を『気虚(ききょ)』と言います。例としては疲れやすい、息切れが早い、汗をかきやすい、食欲がわかず消化が悪いなど、受け付けるエネルギーの量が低下する割りに燃費が悪くなる悪循環に陥ります。

次に『気』の循環が滞っている場合を『気滞(きたい)』と言います。こちらの例は憂鬱になりやすい、お腹にガスが張って苦しむ、締め付けられるような頭痛など、いわゆる捌け口のないストレスを抱えたことによって起こる症状が主です。

『血』について  『血虚』『瘀血』

『血』については読んで字のごとく、血液のことを指しています。血液の運搬によって肌や髪の毛、内臓に栄養が巡るのでもし異常が出た場合、容姿に1番影響を与えるのはこの要素です。

『血』が不足している状態を『血虚(けっきょ)』と呼び、皮膚の乾燥や貧血、爪割れ、不眠症などの症状として影響が出てきます。巡る栄養が少ないことで発生する体調不良が多く見られます。

『血』が滞っている状態ですと『瘀血(おけつ)』と呼びます。例は唇の色が青い、シミや痣が出来やすい、下半身が冷えているのに上半身がのぼせているなど行き渡る栄養の箇所が偏っていたり、逆に血渋滞を起こして十分な栄養が行かないことで起こる症状が見られます。

『水』について  『津虚』『水滞』

最後に『水』についてですが、こちらは血液以外の液体、リンパ液や唾液、汗、涙、尿など体内に存在する様々な液体全てを指します。『水』によって肌や髪に潤いが生まれ、関節の動きも滑らかにしてくれます。

そんな『水』が不足している状態を『津虚(しんきょ)』と言い、口が乾いたり皮膚や舌が乾燥し、胃腸の液体も不足するので便秘の原因にもなってきます。『血虚』と症状が似ていますが作用する液体が違うので、その点を注意しておきましょう。

そして『水』が滞っている状態を『水滞(すいたい)』と言います。『津虚』とは逆に、水が局部に集中しているのでむくみや鼻づまり、軟便や下痢といった液体を多く含んだことによって起こる症状が表れます。

Lesson03-2 漢方の基本理論ー陰陽論

陰陽論とは?

陰陽論とは森羅万象、全ての事柄は『陰(いん)』と『陽(よう)』の2つに分類されるという理論になります。文字から感じ取れるように『陽』は明るく活動的、『陰』は暗く大人しいイメージで二分化していただければ大丈夫です。

『陰』と『陽』はお互いに反発しあい、依存し、付かず離れずの状態でバランスを保っています。

この考えを自然や感情などだけでなく、漢方や人の体にも適用させたものが今回学ぶ陰陽論となります。

陰陽

対になる関係性

上記で説明したように陰陽論は全ての事柄に当てはめられ、簡単に言うと対になる存在があれば『陰』と『陽』は成立するのです。

たとえば朝と夜、夏と冬、表と裏など、並べていけばきりがありません。

このように何かがあればその対となる存在もいるのです。このようにお互いが支えあってバランスを保つことを陰平陽秘(いんへいようひ)、そしてお互いが対に依存しあうことを相互依存と言います。

絶えず変化する『消長』

上記のものは事柄としてあげたことによる対比であって、実際には体調や季節は絶えず変化して行きます。たとえば1年を通して見てみると過ごしやすい春や秋はバランスが取れている状態と言えます。ですが暑い夏や寒い冬は明らかに片方の成分が主張しすぎていると思いませんか?

日の光や感情に明るい時と暗い時の波があるように『陽』へと傾いている時、『陰』へと傾いている時がどんなものにもあります。このように一方が主張するともう一方が衰える、その逆も行ってバランスを取る関係を『消長(しょうちょう)』と言います。

「人生楽ありゃ、苦もあるさ」なんて言葉も、言われてみれば陰陽論を照らし合わせた縮図のような言葉だと感じませんか?

消長

突如変化する『転化』

では仮に『消長』を行わずずっと『陽』の成分を取り続けたり、逆に『陰』の成分を取り続けた場合どうなると思いますか? 答えは簡単です。バランスを崩して本来の意味を保てなくなるのです。

たとえば暑いから涼しくなるようにカキ氷を食べたとします。『暑い』の対になる『冷たい』でバランスをとって快適に過ごせるでしょうが、もし度を越してカキ氷を食べたらどうなるでしょうか? 体は冷え、胃腸の体温も低下したことで消化器系の機能が低下。さらには体が冷えたことで血管が細くなり十分な血が巡らず、ますます体温が下がって命に危険が訪れます。

さすがにこれは大げさな例ですし、普通なら十分に涼しんだところで食べるのをやめるでしょう。ですが『薬は体に良いから』『炭水化物を減らしてダイエット』などプラスのイメージを持って取り続けることは極めて危険です。

たしかに量を見極めて実践すること自体はかまいません。ですが毎日大量の薬を飲めばそれも毒へと変わり、早い結果を求めて食事を断って必要最低限の栄養も取らず栄養失調になる例も存在します。

このようにある一定のラインを超えると意味が逆転してしまうことを陰陽論では『転化(てんか)』と言います。

Lesson03-3 漢方の基本理論ー五行説

五行説とは?

五行説とは「」「」「」「」「」の5つの要素を基にお互いが助け合い、抑制しあうことでバランスを取っている自然観の1つです。中医学ではこの関係性を自然だけでなく、診断や治療、人の体や内臓、精神活動、さらに季節や気候、地理が体に及ぼす影響などにも当てはめて考えています。

それぞれの特徴

5つの要素にはそれぞれの意味を持っています。

「木」 枝を伸ばし、葉を広げながら成長する様子から上へ外へと広がっていくイメージを連想させ、「成長発展、のびやか、円滑」という意味を持っています。

「火」 熱や光を発しながら空へと昇っていく炎に、空気を上げさせたり流れを引き起こすイメージを持たれて「炎上、発熱」の特性を持ちます。

「土」 どのような形にも変化し、作物など文字通り大地の恵みを与えてくれるイメージから「養育、受納、変化」の特性を持ちます。

「金」 金属の硬さや冷たさから、他を寄せ付けない清廉潔白なイメージが生まれて「清涼、清潔」の特性を持ちます。

「水」 重力や地形に従って下へと流れ、物を濡らして潤す働きと、何より火を消すイメージから「寒温、下行、滋潤」の特性を持ちます。

このようにそれぞれの要素が特性を持っており、お互いの特性を利用して2種のバランスを取っています。

1つは 「木」⇒「火」⇒「土」⇒「金」⇒「水」⇒「木」 の順番で相手を生み助けて促進する『相生(そうせい)』の関係、もう1つは 「木」⇒「土」⇒「水」⇒「火」⇒「金」⇒「木」 の順番で相手を抑制してコントロールする『相克(そうこく)』の関係があります。

五行説

他にも相手を抑制しすぎたり元々抑制する相手が弱っていた時に影響を与えすぎたことで起こる『相乗(そうじょう)』や、逆に抑制する側が弱っていたり、される側が強かったりすると反対の作用をもたらす『相侮(そうぶ)』といったような効果も見られます。

五行色体表

上記で説明してきた五行説をあらゆる観点から考察し、心や体、自然などを幅広く分類したものを『五行色体表』と言います。

五臓表

ちなみに五季の『土用』は季節の変わり目のことを指しています。鹹(かん)は現代の言葉で言うと塩味に当たります。

中医学ではよく耳にする五臓についてですが、これは人の内臓を五行色体表に当てはめた時に呼ばれる呼称です。

「肝(肝臓など血を蓄える機能)」は憂鬱な状態を嫌い伸びやかに過ごすことを好むので「木」に属し、「心」は温かく熱を発しているので「火」に属し、「脾(胃や腸などの消化器官)」は摂取した食べ物を栄養へと変化させて体の成長を促すので「土」に属し、「肺」は潔癖症できれいな空気を好むことから「金」に属し、「腎(じん臓が中心)」は体中の水分をコントロールする上に尿の排泄を行ったりすることから「水」に属されます。

Lesson04-1 漢方の種類 解表類

漢方となる食物

これまで漢方の基本や歴史について学んで来ました。なのでここからは実際漢方がどれだけあり、どのような作用をもたらすのか学んで行きましょう。

まず皆様が漢方薬と考えている薬、それは中医学理論を基礎にして作り上げられた薬であり『中薬(ちゅうやく)』と言います。また、食用と薬用、その両方として扱えることが出来るものを『食薬(しょくやく)』と言います。

世界中に溢れる豊富な食材の中から、中薬として調査され『中薬大辞典』に記載されている物は12,807種類あります。さらに分類すると植物は11,146種類、動物は1,581種類、鉱物は80種類に分けられます。

ここからさらに薬効の種類別に学んで行きましょう。

解表類

解表類(げひょうるい)』とは汗をかくことで体の表面に溜まっている邪気(病気を引き起こす原因の総評)を洗い流す考えを基礎に、治療を行う食薬の総評を言います。この食薬に適した症状は四季に関係なく、1年を通して見られる一般的な風邪に当たります。

しかし注意点が2点あります。1つは汗をかくにしても体を温めて少し出す程度でいいこと、もう1つは薬効が損なわれる可能性があるので煎じる場合は沸騰して5分ほどで大丈夫だということです。

辛温解表類(しんおんげひょうるい)

解表類の中でも2種類に分かれます。その内の1つ『辛温解表類』と言います。

こちらの種類は温性、辛味に特化しており、発汗の作用が強い物です。主に晩秋から春先までの寒い時期に用いられ、熱や頭痛、鼻詰まりなどの風邪の症状に効きます。また、梅雨の時期に発症する冷え性や下痢などの場合にも使われます。

有名な例としましてはショウガが挙げられます。

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体を温める代表的な食材の1つであり、香り付けなど食用にもよく用いられるので比較的簡単に扱えると思います。注意すべきところは大量に摂取してはいけないことです。体を温めるということは血の巡りを良くする事でもあり、充血や痔などを返って悪化させてしまう危険性もあります。料理やお茶などのちょっとしたアクセントや下準備で扱うことをお勧めします。

他にも白ねぎパクチーミョウガシソなども効果的です。

辛涼解表類(しんりょうげひょうるい)

上記の辛温解表類とは逆に晩春から秋の暖かい時期に用いられる、涼性と辛味を持った『辛涼解表類』があります。こちらも風邪の症状や鼻詰まり、のどの痛み、痒みなどに効果をもたらします。

代表的な例は薄荷(ハッカ)があります。聞き慣れない方にとっては「ミント」と呼んだほうが馴染み深いかもしれません。料理の風味付けやデザートなどの清涼感を出すために使われますが、こちらも立派な漢方の1つなのです。

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発熱や無汗、充血、頭痛、麻疹(ましん)など多くの症状に対抗できる優れた食材ではあるのですが、強い効果を持つ物は同時にデメリットも抱えています。虚弱者に多く発汗させてはならない、ため息が頻発するなどの肺に関する症状は他の薬と同時に煎じる必要がある、生の物を多用すると胃痛や舌の痺れが起こる可能性もある、妊婦に使用してはいけないなど、様々な注意が必要となります。

他には菊の花クワの葉などが例に挙げられます。

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Lesson04-2 漢方の種類 清熱類

清熱類とは?

前のページで説明した体の表面に停滞する邪気を発散する解表類に対し、体内の熱を取り除く食薬を『清熱類(せいねつるい)』と言います。体の中で起こった熱から見られる症状を『内熱(ないねつ)』と言い、発生源となる内蔵は肺や心臓、胃、肝臓、膀胱、腸など様々な箇所から見られます。ちなみに心臓と肝臓が熱を持っているときの表現を「心火(しんか)」「肝火(かんか)」と言います。

「熱を清める」という字から連想されるように寒性、涼性の効果を持っており、各種の熱証を冷まして元の状態へと改善させて行きます。

しかし内熱は種類が多く、どこの部分が悪化しているのか判別しづらいので、病院などでの診断結果に基づいてお医者様と相談しながら食材を選びましょう。また、摂取しすぎると陰陽論で学んだ『転化』が起こり、体を冷やしすぎて害を及ぼす可能性が出てきます。

もともと食が細かったり下痢気味の方、冷え性、妊婦の方は摂取する際に注意してください。

清熱瀉火類(せいねつしゃかるい)

清熱瀉火類は肺熱、胃熱、心火、肝火などによって引き起こされる発熱や咳、口内炎、口臭、のどの渇き、排尿痛、下痢、便秘などの実熱証に効果をもたらします。そして清熱類の多くがこの清熱瀉火類に属します。

清熱瀉火類に属する食材は中国のイメージがあまりない、スーパーですぐに買えるようなものが豊富にあります。たとえばセロリ白菜、豆腐、麦、ゴーヤー、トマト、リンゴ、スイカ、メロン、バナナ、マンゴー、カニなど一般的な食材の目白押しです。

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中でも過食にさえ気をつければ特に問題がない食材、水菜ズッキーニ、湯葉、シジミなら普段の料理に組み込むことで「内熱」の予防にもなります。

清熱涼血類(せいねつりょうけつるい)

清熱涼血類は血を送り出す心臓や血を溜めておく肝臓から始まる症状、鼻血や皮下出血、血便などの出血症状に服用される食薬です。

上記の清熱瀉火類とは打って変わって日本に馴染みのない食材ばかりなので想像しづらいでしょうが、それでも例に挙げるとしたら牡丹の根皮になります。

牡丹を花として認識している日本からしてみれば馴染みはありませんが、これも食薬の1つなのです。

清熱解毒類(せいねつげどくるい)

内熱が活発になることで熱毒が発生し、ニキビや吹出物、痒み、皮膚の化膿などが症状として表れます。そういった場合や蛇や犬などに噛まれたときの中毒症状、食中毒などに服用されるのが清熱解毒類です。

この種類は食用のタンポポドクダミ、オリーブなどが有名で、主に煎じてお茶にする調理法が摂取しやすいです。また、オリーブの場合はオリーブ油を調理に使用することでより簡単に取り入れることが可能となります。

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清解虚熱類(せいげきょねつるい)

発熱によって体内の水分が消費してしまい、回復期間中に微熱や疲労、精神の不安などの症状が現れたりします。こういった病後の二次症状を防ぐための種類を清解虚熱類と言います。

この種類は日本で聞き馴染みのない物ばかりなので、食卓には並ばない可能性が高いです。もし病後の症状が安定しない方、摂取したい方は医師や薬剤師の方に相談することをお勧めします。

Lesson04-3 漢方の種類 瀉下類

瀉下類とは?

瀉下類(しゃげるい)とは胃腸の活動を正常にし、快便を促す食薬のことを言います。また便秘だけでなく腹部の張れやガスが溜まる症状、下痢、食中毒などにも作用します。お通じが悪くなると溜まった老廃物から出た毒素が周りに影響を与え、頭痛やめまい、口臭、痒み、喘息、腹痛など様々な症状となって体に悪影響を及ぼします。最悪ガンになる恐れもあるので、早期解決が求められます。

また一言に瀉下類と言っても、効果を見せる食材は胃腸の内熱を治めて正常に戻す物、便の流れをスムーズにする物、余分な水分を吸収して他の排便にして出す物など、様々な作用を持つ物が見られます。

攻下類(こうげるい)

攻下類は『苦』と『寒』の性質を持っており、瀉下の効果が強いことが特徴です。ゆえに便秘やガス溜まり、下痢に効くのはもちろん、胃腸の内熱が原因で引き起こされる高熱や頭痛、吐血などにも効果を示します。

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パイナップルアロエなどがこの性能を持っており、生やヨーグルトなどのデザートとして口にしやすいかと思います。ですがどちらも『寒』の性質を持っていて摂取しすぎると体を冷やしてしまいます。ですので冷え性の方や妊婦の方は食べる量を気にしながら摂取することを心がけてください。また、どちらも女性が気になるダイエットや美容にいいと評判が流れている食材です。「綺麗になりたい」と思う気持ちが助長して過食してしまうかもしれませんが、正しい知識と自制心を養って快適な食生活を送りましょう。

潤下類(じゅんげるい)

この潤下類は植物の種や果実、油脂を含んでいる物が多く見られます。攻下類が内熱を持った胃腸を冷ますイメージを持つなら、こちらは油脂で大腸内をコーティングして滑りを良くしたと差別化したほうが分かりやすいと思います。つまり内熱から来る便秘ではなく、お年寄りや虚弱体質、慢性病、産後などの体力低下から引き起こされる便秘に有効です。

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この種類で代表的な食材はイチジクです。生でいただくのもいいですし、ジャムやデザートなど加工していただいてもらってもかまいません。さらに下痢や便秘に効く瀉下の効果を持ち合わせながら、咳や痰、のどの痛み、痔の腫れの治療にも役立ってくれます。その上過食さえ気をつけていただければ特に問題がない食材なので、お勧めの食材です。

他にはオヒョウモモ麻の成熟した果実などがあり、どちらも瀉下の効果を持っています。しかし使用上の注意や調理方法の一手間が少々面倒になってきますので、もし扱うようであればその点を注意して使用してください。

Lesson04-4 漢方の種類 祛湿類

祛湿類とは?

祛湿類(きょしつるい)とは体の代謝を正常にし、体内の余分な水分を取り除く食薬のことを言います。異常な代謝によって五臓に水が溜まると症状が見られますが、これは各々の場所で現れる症状が変化します。

脾、胃、腸などの消化器系に溜まると食欲不振や胃もたれ、嘔吐、下痢などの症状が現れます。皮膚に溜まれば体がむくみ、関節や筋肉に溜まれば痛みや腫れ、ひどくなると歩行困難などの症状が現れる可能性も出てきます。

中医学では水が溜まる状態を2つに分けています。頭痛や体の重み、吐き気など症状が目に見えない状態の時を『湿』、むくみや下痢などの目に見える症状まで溜まった状態を『』と呼んでいます。

祛風湿類(きょふうしつるい)

祛風湿類は筋肉や神経、骨に侵入する湿邪気を払って、体調を改善させる食薬のことを言います。また祛風湿類の中でも2種類に分かれ、『辛味・苦味・温性』の特性を持つ食薬は『風・寒・湿邪気』の性質を持つ邪気に使われ、『苦味・涼性・平性』の特性を持つ物は『風・暑・燥邪気』の邪気に使用されます。

分かりやすく言うと前者は悪い部分を暖めて、後者は熱を冷まして邪気を払うイメージです。

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さくらんぼパパイヤもこの種類に入り、意外にもも漢方としてこの種類に分類されます。なお、酒と言っても米や麦、トウモロコシなどの穀類から作られたものを指します。

芳香化湿類(ほうこうかしつるい)

香りを用いて湿を取り除き、食欲を増幅させて脾の働きを促進させる食薬を芳香化湿類と言います。脾臓は水や酒が溜まると消化機能が低下しますので、このことから中医学では「脾は燥を好み、湿を嫌う」と言われています。

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シソ科やショウガ科の食材が多い中、藤袴の花も漢方として存在します。ですがこれらの食材は揮発性が強いので煎じる場合は他の食材より後に煎じるか、煎じる時間を短くするなどの工夫が必要となってきます。

利水滲湿類(りすいしんしつるい)

利尿作用を利用し、体内の余分な水分を外へ出す食薬を利水滲湿類と言います。むくみやめまい、皮膚炎、排尿痛などの症状で用いられますが、利尿作用による津液の消耗はどうしても避けられないので遺精や遺尿などの症状には慎重に扱いましょう。

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日本に昔から馴染みのあるナズナ小豆、大豆はこの分類に属し、フナハモ、白魚、フグなど水中の食材もここに入ります。ここで少し注意していただきたいのは大豆です。私たち日本人の生活の中で大豆は様々な加工品となって出回っていますが、豆腐や湯葉は清熱瀉火類に属しますので注意してください。

Lesson04-5 漢方の種類 温裏類

温裏類とは?

中医学において体表や神経を『』と表し、臓腑や血脈、骨を『』と称します。そのため臓腑を温め、冷えの症状を抑えて改善させる食材を温裏類(おんりるい)と呼びます。具体的にどのような症状が当たるかと言いますと、体を温める機能が低下したことで引き起こされる冷えや痛み、生理痛、下痢などが該当します。

またこの種類に属する食材の多くは香辛料になりますので、胃腸の弱い方や体の調子が変化しやすいお年寄り、妊婦、子供の方は使用量に注意してください。

それでは日本でもよく目にする食材の紹介をしたいと思います。

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まずは夏野菜の1つでもあるピーマンから紹介していきます。脾胃の冷えによる痛みや嘔吐下痢、消化不良を療養してくれる上に、ガンや動脈硬化、肥満、高血圧などの予防効果まで備わった優れた食材です。中には苦味やにおいが苦手という方もいらっしゃると思いますが、オランダ語でピーマンを意味するパプリカでも代用が可能なので、そちらで試してみるのもいいかもしれません。

ニラもこの種類の1つです。お粥や汁物、炒め物などの材料に使われている食材ですが、げっぷや嘔吐、吐血、鼻血、疲労などに作用する様々な働きを持っています。しかし効果が強い反面、その強さに耐え切れない胃が弱い人や子供には危険です。さらにどの料理法にも使いやすい点から多用する方もいるかもしれませんが、ほうれん草、ハチミツ、牛肉と一緒に用いることは食べ合わせの問題から禁忌となっています。

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とうがらしコショウも温裏類に入ります。どちらも香辛料の代表的な例ですし、どの国でもよく使われる食材だと思います。ですがどちらも刺激が強く、粘膜を破壊したり栄養素同士が衝突して悪影響を引き起こしてしまう可能性もあるので量には気をつけて使用してください。

逆に甘い黒砂糖もこの種類に属します。冷えや食欲不振だけでなく、産後の腹痛や生理痛、生理不順などを癒してくれる女性の体に合った食材です。しかし食べ過ぎると下痢になってしまう可能性もあるので、気をつけてください。

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魚介類の中からはアジマスが有名所なので、この2匹について紹介します。

どちらも胃の冷えや痛み、食欲不振を治す効果を持っており、多くの栄養成分を有しています。マスは川魚なので生でいただくことは出来ませんが、アジの刺身に加え焼き物、煮物、フライなど多くの調理法でいただくことが出来ます。ですが中にはアレルギーの方もいらっしゃると思いますので、そういう方は多食を控えてください。

ちなみに、スーパーなどでアジの刺身やたたきに付いてくるショウガやシソ、ネギなどは一緒に食べることで中毒予防になるので、醤油に入れるなり和えるなり、お好みの方法で一緒に食べることをお勧めします。

Lesson04-6 漢方の種類 理気類

理気類とは?

体内で起こる気の運動を『気機(きき)』と言います。その気機の巡りを良くし、臓腑の動きを調節する働きを持った食薬を理気類(りきるい)と呼びます。

正常に巡ることで健康が保たれる気機がストレスなどで不調になった時、臓腑に悪影響を及ぼして症状が現れます。便や生理など出るものが出ない時の状態を気滞症状、喘息や嘔吐など逆流する事態が訪れた時を気逆症状と呼びます。

理気類の食薬は辛・温・芳香の性質を持つ物が多く、ストレスと共に臓腑で溜まった鬱を解消させて元の状態に戻すのが主な働きです。

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理気類の代表的な例の1つが玉ねぎです。生で食す物から火を通した物まで調理の幅が広く、脾胃の気機を整えて食欲不振や下痢、げっぷ、吐き気などの治療に用いられます。さらに生で食べるとネギと似た働きをするので風邪の予防にもなります。胃火によって体調を崩されている方は津液を消耗してしまいますので食べるのは危険ですが、他にも解毒や殺菌、利尿、高血圧予防など体の働きを整えてくれる優れた食材です。

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それと日本人に馴染みの深い蕎麦もここに属します。正確に言うと「蕎麦の実」として記されているので、調理法は蕎麦意外にもそばがき、クレープ、お好み焼き、お茶など様々な方法で摂取することが出来ます。

他にもラッキョウえんどう豆などよく聞く名前も入っています。

数多く所属している理気類ですが、似ているようで違うものとして表記されている食材もあります。

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それはオレンジみかんです。どちらも同じ呼び方で通じてしまいますが、前者はインドやアメリカ、ブラジルなどが原産地で、後者は日本や中国が原産地として記されています。しかし違うのは原産地だけでなく、体に及ぼす働きも変わってきます。

まずはオレンジから説明して行きます。嘔吐や食欲不振、口の渇き、発熱、空咳、痰などを防いでくれる働きを持ち、虚寒下痢や糖尿病の方が口にするのは危険です。

続いてみかんについてですが、基本的にオレンジと働きはほとんど変わりません。ですがこちらは咳、多く出る痰、下痢を防いでくれます。注意する点は熱を持った人、のぼせている人には摂取を控えることです。

つまりオレンジは体を冷やす『涼』の性質を持っており、みかんは体を温める『温』の性質を持っていることになり、そこが2つの大きな違いです。

他にも柚子金柑といったミカン科の果物も理気類に属します。なお金柑に関しては砂糖漬けにしたものが子供の風邪に効くといわれており、体の弱い方でも安心して扱える食材です。

Lesson04-7 漢方の種類 理血類

理血類とは?

理血類(りけつるい)とは血に関係してくる病気を治療するために用いられる食薬のことを言います。理血類の説明をする前に、5つの血の病気、『血虚証(けっきょしょう)』『血寒証(けっかんしょう)』『血熱証(けつねつしょう)』『血瘀証(けつおしょう)』『出血証(しゅっけつしょう)』について学びましょう。

まず血虚証は血の営養作用の低下、つまり必要な分の栄養補給が不足していることで起こる症状のことを言います。次に血寒証についてですが、これは新陳代謝が下がったことと連動して体温も下がり、体が冷える事で起こる症状です。血熱証はその逆で、気分の高揚や風邪によって引き起こされた体の熱が原因で生まれる症状になります。血瘀証は血の巡りが悪くなることで起こる症状、出血証は熱による出血が原因で起こった病状のことを指します。

これら血の病気には理血類を使用しますが、前のページで説明した温裏類は血寒証、清熱類瀉下類は血熱証にも効果を見せます。

止血類(しけつるい)

体の中、外関係なく出血の症状を改善する食薬を止血類と言います。熱や寒さで弱まった血管からの出血や虚弱体質ゆえの出血、瘀血によって巡りが悪くなり血が集中して血管が破裂するなど、多岐にわたる出血症状で用いられます。

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この種類で有名なのはナスです。ナスは体を冷やして止血する働きを持っているので、元々冷え性の方は気をつけて食べてください。余談ではありますが『秋茄子は嫁に食わすな』という言葉、単に「奥さんにさえも渡したくないほど秋茄子はおいしい」という意味だけではありません。元々あくが強いナスですが旬を迎えた秋茄子はさらにあくが強く、妊婦の方には毒になる可能性が高いことからこの言葉が広まりました。ですのでもし食べる場合はしっかりとあく抜きすることを勧めます。

他にも黒キクラゲオカラヨモギなどもこの種類に入ってきます。

活血化瘀類(かっけつかおるい)

血の流れを活性化し、瘀血を解消する食薬のことを活血化瘀類と言います。この名前を省略したものを『活血類(かっけつるい)』と呼び、作用が強い物を『破血類(はけつるい)』とも呼びます。血の巡りが良くなれば関節痛や痺れむくみの改善にもなります。

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この種類に属している上で扱いやすい食材はチンゲン菜です。こもった熱を冷ますことで瘀血を解消する他に、乳腺の腫れや熱、赤みをも治療してくれます。それと火が通りやすい食材なので、パッと炒めて栄養と食感を残す調理法がお勧めです。

また、調味料の1種でもあるもこの種類に入るのですが、チンゲン菜と違って体を温めることで血の巡りを良くして瘀血の解消を行います。

なので涼の性質を持つチンゲン菜、温の性質を持つ酢の両方を同じ料理に使用してはいけません。もし行ってしまった場合、両方がお互いの特性を潰しあい瘀血を解消する効果を打ち消してしまうからです。

Lesson04-8 漢方の種類 消食類

消食類とは?

消食類(しょうしょくるい)とは食べ物の消化を促す作用を持った食薬です。飲み過ぎや食べ過ぎが原因で消化不良になるケースが多く見られ、そういった時に消食類の食薬を食べます。すると停滞している脾胃の働きを活発化させ、消化活動を促してくれるのです。

まだ消化器官が未成熟な子供や消化機能が低下しているお年寄りの方は日常的に消化不良に陥る可能性があるので、常日頃から消食類の食材を食事に取り入れることをお勧めします。

まずは食卓に並びやすい食材、大根について紹介します。

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生でいただくのも良し、酢の物に煮物、炒め物、漬物と様々な調理法を持っているので、食卓に度々並んでも飽きが来にくい利点があります。消食類らしく脾胃の働きを助けて腹の膨れや吐き気を抑えてくれるだけでなく、肺熱が原因で気管支に見られる症状や瘀血による出血も予防してくれます。果物やオリーブ、人参など食べ合わせの悪い食材も多々ありますが、大根おろしを常食するだけでもガス溜まりや便秘を改善してくれる優れた食材です。

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疲労回復、精をつけると言われるオクラも消食類の1つです。

茹でて輪切りにしたものを冷やっこなどの上に乗せてアクセントにしたり、山芋や納豆に合わせて粘り気を強めて食べたりと食べ方は多く存在します。そして今紹介した山芋と一緒に食べる方法は便秘を改善し、ムチンというヌルヌルした成分は胃をコーティングしてコレステロールや糖分の吸収を抑えてくれるので、オクラは美容にとてもいい食材なのです。しかし便意を促進させるので、下痢気味の方は摂取を控えたほうがよろしいです。

中には元は同じだけど食べる時期と部分によって名前が違う食材も属しています。それが大麦麦芽です。

大麦はお米と一緒に炊いて食べるのが一般的です。麦芽は大麦を水に浸して0,3~0,5cmほど生長した物を天日干しし、粉末状に加工して様々な料理に用います。

大麦は脾胃に働き、消化器官の機能を増強して食べ過ぎで膨れたお腹を元に戻します。一方麦芽の方は脾胃だけでなく肝臓にも働くほか、母乳の作成を中止する働きがあるので授乳を止める際に食べることがあります。なので女性の方は哺乳期が終わるまで多量の麦芽を摂取しないほうがいいです。

また、加工したある食材も消食類に属します。それがおこげです。

中華料理でよく目にする料理として作られた物でも、釜の底に焦げ付いた物でもおこげとして扱います。こちらは食欲不振の改善だけでなく、胃もたれの解消にも効果があります。調理法は揚げたり細かく砕いてスープと一緒に茹でたりとありますが、1番おいしくいただけて多くの食材を一緒にとり易いのはあんかけ料理にした場合だと考えます。しかも元がお米なので過食さえ気をつければ特にこれといって注意する点がありません。

Lesson04-9 漢方の種類 化痰止咳平喘類

化痰止咳平喘類とは?

そもそも化痰止咳平喘類は『化痰類』『止咳平喘類』2つの種類から構成されています。前者は痰、後者は咳の症状を和らげるための食薬なのですが、実際には両方の症状が現れることが多いので化痰止咳平喘類(かたんしがいへいぜんるい)として表記され、よく一緒に服用されます。

化痰類(かたんるい)

痰は早い話、水の代謝が停滞することで起こる症状です。つまり水の代謝が関わる臓器、肺、脾、腎のどれかで問題が発生したときに痰の症状が出てきます。それに痰にも種類があります。泡のような痰は寒性黄色い痰は熱性白色の痰は湿性と体の症状に合わせて種類が変わってきます。

なので薬もそれに合わせた性質を持ったものを使用しなければなりません。温性の食薬は寒・湿性に効き、涼・寒性の食薬は熱性の痰の時に使用します。

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海苔昆布海藻類は寒性を持っているので熱性の痰に効きます。他にも利尿作用や高血圧予防にも効果をもたらすので積極的に取っていただいてもかまいません。ですが寒性を持っているので多食をしてしまいますと消化機能の低下や下痢などの不調が起こる可能性もあります。取りすぎには気をつけてバランスの良い食事を心がけましょう。

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温性の食材はカラシ菜マスタードがありますが、どちらも刺激物なので量には気をつけて料理してください。特に痔や血便の方は控えた方がよろしいです。

そんな中、常食しても特に問題がなく健康にも良い食材があります。それが豆乳です。

温性にも寒性にも属さない平性なので無闇に臓器を刺激せず、喘息やむくみ、体の疲れを癒してくれます。昨今ではコンビニですぐ買えるほど身近な物になったので、毎日の食事に加えることも可能となりました。

止咳平喘類(しがいへいぜんるい)

咳が出る原因は呼吸器、つまり肺を痛めたことによって起こる症状です。止咳平喘類は呼吸機能を正常に働かせ、咳や喘息といった症状を治してくれます。

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中でもが手に入り易く、食事に取り入れやすいと思います。

生のまま食べるのも良いですし、サラダに合えたりデザートとして調理することも可能です。効果は痰熱による咳を治してくれるほか、口の渇きを潤してくれる働きもあります。涼性を持っているので多食による肺や胃の冷えに気をつけていただく必要がありますが、それさえ気をつけていただければ単品でも他の食材との組み合わせでも効果を発揮しますのでお勧めです。

他にも銀杏ビワといった種類があり、秋から冬にかけての乾燥した時期に合わせて食べることで咳の予防にもなります。

Lesson04-10 漢方の種類 安神平肝類

安神平肝類とは

安神平肝類(あんしんへいかんるい)とは心をリラックスさせ、緊張や不安を治めてくれる食薬のことを言います。中医学では精神を安定させるにはが肝心だと考えられています。心は集中力や思考能力を高めて反応を良くし、肝は気分を落ち着かせてくれます。よって心と肝が正常に働くことで精神が安定し、リラックスできる状態となるのです。

安神類(あんしんるい)

安神平肝類の中でも心に作用する食薬の多くが分類されている安神類は、主に動物の骨や鉱石、植物の種子などが多く見られます。そして特徴的なのは動物の化石琥珀など、長い年月をかけて出来上がった鉱石もこちらに分類されることです。

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血を正常にさせることで、全身に血を送り続ける『心』と血を溜め込む『肝』の滋養を行います。しかし心は最も大事な臓器であるため、大なり小なりの作用をもたらす安神類を長期にわたって使用することは控えるべきです。もしこの種類の漢方を口にする時はお医者様と用量などをちゃんと話し合って服用することが大事になります。

また、代表的な食薬が化石であるため普段の食事に取り入れることは困難です。もし摂取しようと考えるのでしたらコーン(トウモロコシ)をおすすめします。調理法はご飯として炊いたり、お粥やスープにしていただくことも可能です。そして精神を安定させる働きも脾胃を中心にして働くので心への直接的な作用は起こりません。

平肝熄風類(へいかんそくふうるい)

この種類の食薬を説明する前に、の症状について説明する必要があります。

風の症状は2種類あり、「外風(がいふう)」と「肝陽上亢(かんようじょうこう)肝風内動(かんぷうないどう)」に分かれます。前者の外風は自然界で生まれる風邪(ふうじゃ)が体に悪影響を及ぼすことで発生する頭痛やめまい、発熱などの症状を言います。

後者の肝陽上亢・肝風内動は肝機能の異常によって体の内側から発症する頭痛や痺れ、痙攣などのことを言います。この症状を改善するための食薬が平肝熄風類です。

また平肝熄風類には平肝熄風(へいかんそくふう)平肝潜陽(へいかんせんよう)の2種類の働きが存在します。痺れや痒み、痙攣には平肝熄風の働きを持つ食薬を、頭痛やめまいには平肝潜陽の働きを持つ食薬を用います。

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この分類での有名所は牡蠣ですが食薬になるのは中身ではなく、貝殻の部分です。さすがに貝をそのままバリバリと食べることはせず、砕いて粉状にしたものを煎じたり服用したりするのが主流です。中身の部分は後のページに登場する「滋陰類」に分類されるので、今回は説明を省かせていただきます。

他にも真珠ウミガメの甲羅などを煎服したり、食虫文化が乏しい日本では考えにくいミミズサソリなどもこの種類に分類されます。

開竅類(かいきょうるい)

開竅類とは香りを用いて意識を明確にさせ、食欲を誘う食薬のことです。意識障害や食欲不振などに陥った時、使用されます。

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この種類に該当する食薬は菖蒲(ショウブ)です。端午の節句でお風呂に入れて菖蒲湯にする方もいらっしゃるかと思いますが、その強い香りで邪気を払うという考えは漢方にも精通するのです。

粉末にした菖蒲を煎服することで意識障害や痙攣、不眠、痴呆、食欲不振、胃もたれなど多くの症状を改善してくれます。

Lesson04-11 漢方の種類 補益類

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補益類とは?

中医学では津液(しんえき)の4つが体を構成する基本的な物質と考えられています。これらの要素が不足した場合に現れる症候群を『虚証(きょしょう)』と呼び、さらに『気虚証』『陽虚証』『血虚証』『陰虚証』の4つに分類されます。

体中を巡る気・血・陽・陰の不足している要素を補って体を内側から鍛え上げ、疾病の抵抗能力を上げることで虚証の治療を行う食薬を補益類(ほえきるい)と言います。4つに分類された虚証と同様、補益類も4つの種類に分けられます。

補気類(ほきるい)

「気を補う」という字から連想されるように、補気類は臓腑機能を向上させて気虚証を治療する食薬です。

気虚証とは気が低下したことで現れる症候群のことを言い、肺、脾、心、腎に影響を与えます。『肺気虚』なら喘息や慢性の咳、『脾気虚』なら食欲減少や下痢、『心気虚』なら動悸や汗、『腎気虚』ならむくみや頻尿感など、それぞれの箇所で各々の症状がもたらされます。

また、補気類を過剰摂取してしまうと補気を通り越して気滞状態になってしまう可能性もあります。なので気を巡らせる効果、行気(こうき)の効能を持った食材と一緒に食べるなどの工夫が必要です。

例えばLesson4-6で説明した理気類の食薬に当たる玉ねぎやえんどう豆、柑橘類が該当します。

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この種類にはハチミツインゲン豆干しシイタケキャベツカリフラワージャガイモかぼちゃサツマイモもち米イワシカツオサバうなぎ牛肉ハム鶏肉と普段私たちがよく目にする食材が大量に入ってきます。いつもの食卓に並びやすいという利点と共に、上記で説明した気滞になる可能性もあるので献立には少々気を使っていただくと幸いです。

助陽類(じょようるい)

陽虚証は上記で説明した気虚証がさらに悪化した状態のことを指します。そして陽虚証は脾、腎、心の3つに影響を与え、『脾陽虚』は冷え性やむくみ、『腎陽虚』は足腰の冷えや頻尿感、『心陽虚』は動悸や冷や汗の症状が見られます。

そんな陽虚証を改善する働きを持っているのが助陽類です。

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助陽類も種類が豊富でクルミ海老ナマコ鹿すずめなどが挙げられ、漢方などで有名な冬虫夏草もこの助陽類に分類されます。

養血類(ようけつるい)

「血を養う」と書かれている通り、血が不足することで引き起こされる『血虚証』を改善する働きを持っている食薬を養血類と言います。

前のページに記載されている安神類で説明したように、血は心と肝に大きく関わってきます。なので血虚証が現れると心と肝に被害が訪れます。『心血虚』は顔色の蒼白やめまい、心悸などの症状が見られ、『肝血虚』では爪色の蒼白や不安、痒みなどが見られます。またどちらも精神の安定には必要な臓器なので、不眠や多夢といったストレスなどがもたらす症状も現れます。

養血を主とする食薬は胃を傷めやすいので、胃の気を活性化させて消化を良くする食薬と一緒に服用することを勧めます。それと古い血を養うだけでなく、新しい血を作る必要もあるので補気類の食薬も一緒に取れば効率が上がります。

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この種類の例は人参ほうれん草落花生ブドウライチ豚のレバー心臓豚足イカタコなどが挙げられます。

滋陰類(じいんるい)

全身の水分である津液と血の2つを合わせて陰液(いんえき)と呼びます。血の不足で見られる血虚証がさらに悪化し、嘔吐や発汗、下痢などで陰液が不足することで陰虚証へと陥ります。そして陰虚証を改善するための食薬を滋陰類と言います。

滋陰類は津液で臓腑を潤すと同時に血も補い、不足した陰液を増やすことで陰虚証を治療します。また、滋補によって胃を傷めやすいので、養血類と同じように胃の働きを良くしてくれる食薬を同時に取りましょう。

陰虚証の適応症は『肺陰虚』の空咳や胸痛、『胃陰虚』の胃痛や食欲不振、『肝陰虚』のイラつきやめまい、『腎陰虚』の耳鳴りや足腰のだるさなど、様々な症状となって現れてきます。

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例となる食材は小松菜アスパラガスゴマ豚肉イノシシ馬肉牛乳チーズすっぽんアワビ牡蠣ムール貝ホタテ百合とたくさんあります。

その中でもイチゴは使用上特に気をつける点はなく、スーパーで1年を通して手に入りやすい上に乾物やジャムなどにすれば保存が利きやすい、お勧めの食材です。

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Lesson04-12 漢方の種類 収渋類

収渋類とは

体は老化していくと引き締める力が弱くなっていきます。つまり夜尿や頻尿などといった引き締める力が衰えたことで起こる症状が現れてくるのです。他にも咳や多汗、動悸、出血など、これらは出口を引き締めることで症状を抑えるのですがそれも思うように行かず、治るのに時間がかかってしまいます。

そういった状態を滑脱不禁(かつだつぶきん)と呼び、それを改善するための作用、収斂固渋(しゅうれんこじゅう)を持っている食薬を収渋類(しゅうじゅうるい)と言います。

また、まだ腎臓が発達しきれていない子供にも利用されることがあります。なのでただの治療だけでなく、根本治療としても効果があります。

代表的な例の1つにレモンがあります。

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ジュースや和え物、菓子などさわやかな酸味と甘味で多くの料理に使われるレモンですが、その中でも収渋類として知れ渡っている調理法があります。それは「レモンの蜂蜜漬け」です。

スポーツなどで1度は目にした事がある食べ方ですが、漢方の面から見てちゃんと理に適った物なのです。まずは前のページで説明した補気類にあたる蜂蜜は汗として流れていった津液の補充を作成するための気を蓄えてくれます。さらにレモンに含まれるクエン酸は疲労回復の効果を持ち、収渋類の働きで多汗を抑えてくれます。この2つの組み合わせによって過度な発汗は抑えられ、運動によって減少した気力や津液の補充が可能となるのです。胃酸過多な人には禁忌とされていますが、それさえ気をつければ多くの症状を改善してくれる優れた食材です。

沖縄県が産地として有名なスターフルーツもこの種類に属します。

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フルーツらしく生のままやジャムにして食べるだけでなく、塩漬けや酢漬けといった方法でも調理されます。収渋類として下痢を改善してくれる働きを持つと同時に、口の渇きを潤してくれたり利尿作用をもたらしてくれたりと、固まった出口の筋肉を活動的にしてくれる面白い働きも持っています。しかしこの果物は性質が未だにはっきりとしておらず、いくつもの説が乱立しています。現在有力なのは味が「温、甘、酸」の性質を持っており、胃を中心に作用するという説です。

少し変わった食材を挙げますと烏賊骨、つまりイカの甲骨が出てきます。

普通なら調理段階で除いてしまう部分ではありますが、煎服すればちゃんと漢方として食薬の役目を果たします。収渋類らしく出血の量や胃酸の量を抑えてくれて月経過多や血便、痔の出血、胃炎などの症状を和らげてくれるだけでなく、湿疹や遺精の改善にも貢献してくれます。

国内での生産がほぼないので少し馴染みがないかもしれませんが、ザクロナツメグハスノミもこの種類に属します。

Lesson04-13 漢方の種類 外用類・その他

外用類とは

これまで食薬として口にすることで効果を発揮するものを説明して来ましたが、その内服とは逆に外用として扱う食薬を外用類(がいようるい)と言います。もちろん食材なので口にしても大丈夫ですし、外用と内服どちらでも効果をもたらします。

主に皮膚炎や化膿、吹出物などで荒れた肌を治めてくれたり、蛇や虫によって噛まれた傷を治してくれたりする働きを持っています。

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そしてその外用類の代表的な例はニンニクです。

強烈な味と匂いで少量でも料理にインパクトを与えてくれるので多くの調理で使用されますが、外用としては生のまま扱います。解毒作用で腫れを引かせたり痒みを抑えたりしてくれますが、味や匂いと同等に効能も強いので長時間貼布すると肌の力が負けてしまって、発赤や水泡などの症状が出てしまいますので注意してください。口にする場合も消化不良の改善や寄生虫の殺虫など大いに役立ってくれるのですが、胃腸への刺激も強いので必ず熱を通して服用してください。

ニンニクについて説明しましたが、ここで少し注意してもらいたいのは名前の似ている茎ニンニク(ニンニクの芽)は外用の効果を持っていないということです。味の性質や効果をもたらす臓器の部分はほぼ同じなのですが、違う点がいくつかあります。まずニンニクが消化不良による食欲不振を改善するのに対し、こちらは体の疲れや冷えから来る食欲不振の改善を目的としています。それと腸での気の巡りを良くしてガス溜まりや便秘の改善にも貢献してくれます。

別物と考えている2つですが、両方に該当する禁忌があります。それはハチミツと一緒に食べることです。

これまでに説明したとおり、補気類として気の補充を行ったり、弱った脾胃や腸を潤して消化器官の働きを良くしてくれる食材ですがその効能の良さがニンニク達と相性が悪いのです。もし両方一緒に使いますと胃腸を過剰に刺激してしまい、水分や栄養を吸収する前に便が下痢となって体の外に出てしまいます。

もしかしたらニンニクとハチミツを同時に取ることで、ダイエットや便秘の改善をしている方がいらっしゃるかもしれません。ですがそれは体のバランスを故意に壊して食べた物の栄養を取らず無理やり出しているようなものです。他の医学的な視点から見て問題ないと言うものもあるかもしれませんが、漢方の視点から見ると禁忌に当たりますので使用しないことを勧めます。

外用類には属さないのですが、ハチミツを外傷の湿布として扱ったり、ヨモギを乾燥させてお灸として使用したりするのも外用の1種です。

これで漢方の大まかな種類についての解説は終わりますが、漢方の研究は今でも続けられており、変わったものですと砂糖醤油などの調味料に加え、コーヒーココアなども調べられています。

学んだ知識を活用するポイント

レッスンの途中ですが、資格講座で学んだ知識を活用するためのポイントを確認しておきましょう。

もともと最初に受講を決めた際、何か漠然とでも「資格を取ってどうなりたいか」というイメージがあったはずです。

  • 知識を生かして体調や生活の習慣改善につなげたい
  • 新しく始める仕事に活用したい
  • プチ起業や教室など副業・仕事で役立てたい

などなど、人によって様々の活用イメージがあるでしょう。

ですが、勉強を進めていくうちにだんだん知識を丸暗記することだけに意識が向いてしまい、資格取得が目的になってそこで満足してしまう方もいらっしゃいます。

もちろん知識は大切ですから、練習問題も活用してしっかり定着させていただきたいですが、より大切なのは自分自身が資格をどう生かすのか、ということです。

受講している間に、今後に生かすために役立つポイントをご紹介しておきましょう。

活用のポイント

1. 今学んだ知識のうち、今日から使えることはあるかな?と確認しながら読む

得られた知識は、生活に密接に関わっている部分が多いはずです。

覚えたつもりになった知識も、使わないものはどんどん忘れて行ってしまいますよね。

そんなときにすぐに使えるポイントや工夫を講座の中で見つけたら、さっそくそのアイテムを購入してみたり、日々の生活で実践することで、頭だけの知識ではなくきちんと身になった知識になっていきます。

ただ読むだけではなく、すぐ実践することをイメージしてみてください。

2. 仕事に活用することを見越して、得られた知識を身近な人に話してみたり、話すイメージトレーニングを行う

プチ起業や教室・セミナーなどのお仕事につなげていきたいと考えている方は、特に資格を取るだけで満足してしまわないよう、次のステップを考えることが大切です。

どのような形であれ、資格を仕事に生かす場合は「上手に人に伝える」ことが必須になります。

実際に身近な人に話してみて、「それ面白い!」「すごいね!」と言ってもらえればそれ自体が自信になり、仕事を始める際のモチベーションアップにもつながりますし、話せば話すほど伝え方も洗練されていくはずです。

仕事に活用するための具体的な知識やテクニック、心構えなどは合格時に見ることのできる合格者特典や、より高度で実践的な内容をまとめたセミナー講師&教室開催マスター特別講座もありますので、合格の暁にはチェックしてみてください。

3. 周辺知識を自分で調べてみて、自分の言葉で説明できるようにする

知識というものは、部分的ではなく体系的に様々な知識が組み合わさって全体像を理解できるようになって初めて、本当に使える知識へと変化していきます。

テキストで説明されている事柄だけではなく、ぜひその周辺の知識を自分で調べてみたりして、深い理解を得るようにしてみましょう。

例えば、ファスティング(健康法)の勉強をしているときに、栄養学について疑問が出てきたら栄養学のことも調べてみたり、美肌になるレシピが紹介されたときに、そもそものスキンケアについてきちんと調べてみたり….といったように、知識を深めることでより理解が進むことは無数にあります。

どうしても単一の知識だけでは、偏りが生じがちです。

体のケアや食事、その他の実用的な知識など、一見関係ないような分野の知識も深いところでは関連があります。

仕事に生かすか生かさないかに関わらず、関連する分野の知識はあればあるほど、あなたが使える生きた知識になるということを意識しながら、よく調べたり考えながら続きのカリキュラムを読み進めてみてください。

ポイント3つを簡潔にまとめると、

  1. すぐ活用してみる
  2. 人に話す練習をする
  3. 関連する分野の知識を身につける

ということになります。

これらのポイントを意識して、講座で学んだ内容をとことん生かして、イメージ通りの自分を目指していってくださいね。