クコの実/ゴジベリー(Goji Berrys)①
学術的分類:クコ属クコ種
学術英名:Lycuium/lyceum
「クコの実」と聞くと、中華料理のデザートや薬膳料理などが思い浮かぶ方も多いでしょう。
そのイメージ通り、中国原産のナス科の植物で、中国では紀元前200年のクコに関する文献も存在します。
特徴
クコの実は真っ赤なシワシワの実のイメージがありますが、実はクコの実の色は淡い黄色から濃いオレンジ、そして深い紅色まで様々な色の実が存在します。
生の実の大きさはレーズンほどで、球形をしています。
クコの実は世界中に多くの種類があり、推定数ではアジアで85種類、北米と中米で15種類とされています。
その種類により実の色や木の大きさ、育成状況なども異なりますが、どの種も生命力が非常に強く、砂漠や気候条件の厳しい環境でも順応することができます。
アジア種と北米種のクコの実はとても良く似ていますが、原産国が中国とされているように、アジア種のほうが多くの調査が行われており、歴史的な文献も多数存在します。
それによると、3000〜4000年も前からクコの実は薬用として用いられており、中医学においては「滋陰(陰を養う)類」の生薬として広く利用されてきました。
アジアのクコの実とアメリカのクコの実の違い
アジア種と北米種のクコの実はよく似ていますが、実は少しずつ違いがあります。
アジア種の実の色はオレンジ系の濃い赤が特徴です。
この濃い色には高い栄養価が詰まっており、味は濃厚で、薬膳料理などの煮込み料理に用いると色味や濃厚さが引き立ちます。
保存のために収穫された果実は乾燥させられ、レーズンのような食感になるまでドライして保存されていました。
アジアにおいてクコが多く栽培されている場所の一つとして、中国の寧夏省があります。
この地域は、中国の他の地域と比較しても100歳以上の長寿人口が非常に多いことが特徴で、住民は美しくエイジングしていき、健康的で活力に溢れていると言われています。
アメリカ種のクコの実は、その多くがアメリカの南西部の砂漠地域に樹勢しています。
アリゾナやカリフォルニア、ニューメキシコやテキサスあたりの砂漠地帯です。
アメリカでも、クコの実は古くから先住民族にとって貴重な食料源であり、野生のクコの実を食していた先住民たちは驚異的な力や俊敏性、長寿などの特徴を兼ね備えていたと言われています。
日本への伝来
クコの実の日本伝来は古く、平安時代には中国からもたらされていたという記録も残っています。その生命力の強さから日本国内でも各地に自生し、日本人にとっても食用や薬として利用されてきた歴史があります。
栄養成分
クコの実の栄養成分や効果を一言で表す際、「長寿」と「活力」という言葉で表現されることがあります。
まさにその言葉通り、老化防止の効果が非常に高く、世界最高峰のアンチエイジングスーパーフードと言われているほどです。
豊富なアンチエイジング成分
熟成したクコの実には、鉄分、抗炎症作用のあるベータシトステロール、必須脂肪酸であるリノール酸、アンチエイジング効果が高いセスキテルペノイド、抗酸化物質であるテトラテルペノイド(ゼアキサンチン・フィサリン)などが含まれています。
クコの実は含まれる抗酸化物質が非常に多いのも特徴です。
老化には様々な要因がありますが、細胞の老化にスポットを当てると、細胞が炎症を起こすこと、酸化することにより老化が進んでいくことが研究により明らかになっています。
そのため抗炎症作用や抗酸化作用のある物質は、アンチエイジングに効果が期待できるのです。
アミノ酸や豊富なミネラル、血管にアプローチするビタミン
また、アミノ酸が19種類含まれており、フェニルアラニンやトリプトファンなど8種全ての必須アミノ酸を含有しています。
亜鉛・鉄・銅・カルシウム・セレンなどの21種類以上のミネラルや、ビタミンB1・B2・B6・ビタミンEなども含有しています。
ビタミンB1、B2などは毛細血管活性化が期待でき、そにれより高血圧・低血圧の改善、冷え改善などの血管疾患系に効果的にアプローチすることができます。
健やかな肌や粘膜の形成に役立つβカロテンと成長ホルモン促進効果
また健やかな肌を保つために欠かせないβカロテンが非常に多く含まれている点も特徴です。
βカロテンは体内でビタミンAに変わることにより、視力回復や粘膜強化、免疫力強化などに役立ち、肌を健やかに保ちます。
さらにアンチエイジングに役立つ働きとして、ダイエットやアンチエイジングに欠かせないホルモンである成長ホルモン(ヒト成長ホルモン)の分泌量の増加を促す働きが注目されています。
これらの様々な栄養素の総合的な働きにより、クコの実はアンチエイジングスーパーフードとして確固たる地位を築いています。
クコの実が男性にもおすすめな理由
さらに、クコの実に含まれる多糖類にはインシュリンの働きを促進し血糖値を下げる効果が期待できることから、中性脂肪やコレステロール値を下げる効果も期待されます。
この他、肝臓に効果的な成分のベタインも含まれており、肝臓脂肪の蓄積を防ぐ効果があります。
このことから、クコの実は女性の美容食としてだけでなく、健康に悩みを抱える男性にもおすすめのスーパーフードだと言えます。
期待できるメリット
- アンチエイジング
- 滋養強壮
- 疲労回復
- 肝機能の改善・活性化
- 脂肪肝の予防
- 血行促進
- 免疫力増強
- 代謝促進
- 冷え性の改善
- 眼精疲労、目の疲れやかすみ、老眼防止
- 体内phバランスをアルカリ性に整える
- 血液の質改善
- 不眠症の改善
- 性機能の向上
使用上の注意
インスリンの分泌を助け血糖値を下げる効果があるため、低血糖の方は摂取量に注意しましょう。
また、性機能に関わるホルモンに作用することから月経促進の作用もあり、妊婦や授乳中の方は避けたほうがよいとされています。
投薬治療との組み合わせとしては、ワーファリンとの相互作用が指摘されています。
治療を受けている方は医師に相談するようにしましょう。
選び方
オーガニックのものを選ぶ
オーガニックでないものや「野生」のものは、化学薬品や二酸化硫黄が噴霧されている場合が多くなります。
品質においても栄養価・味においてもオーガニック製品のほうが優れています。
自然な赤いろのもの
クコの実の色は赤が濃いほうがよいのですが、極端に赤すぎるものは注意が必要です。
比較的安価で極端に赤いものは、化学薬品の染色による色づきの可能性があるからです。
しっとりと光沢があるもの
ややしっとりとした、光沢があるものを選びましょう。
光沢がないものは、抗酸化物質が少ないか古いものである可能性があるためです。
またカリカリに固く乾燥したものよりもしっとりとしたものを選びたいところですが、あまり濡れているものも避けましょう。
こちらは砂糖水に漬けた後に乾燥させている可能性があります。
大きさはあまり関係ない
日本で手に入るクコの実は、大きさにより極上、第一、第二、第三の4つの等級に分けられているのを見かけるでしょう。
しかしクコの実の場合は、大きさと品質にあまり関連性はありません。
粒が大きくても栄養価が高いということはないため、あまり気にする必要はないでしょう。
クコの実製品
国内で手に入りやすいもの
- 乾燥させたクコの実
- クコの実ジュース
- エネルギーバー
- クコの実エキス粉末(パウダーやカプセル)・・・など
この他、海外ではクコの実の液体チンキや摘みたての生のクコの実、クコの種油やチョコレート製品なども販売されています。
利用方法
クコの実は毎日摂取してもよいもので、15〜45gが目安となります。
これは約一握りに当たります。
乾燥したものをそのまま食べてもよいですし、お茶に入れてもおいしく頂けます。
またスムージーにしたり、スープに入れることも可能です。
薬膳料理では乾燥クコの実を他の食品や料理に加えて煮込みますが、そうすることで消化が良くなるという伝統的な考え方があります。
詳しいレシピなどはLesson28-4を参考にしてください。
クコの実は味も甘く、食材としてもトッピングとしても、どんな方にも使いやすいスーパーフードです。
保存方法
クコの実に湿気は大敵です。
空気に触れないように密閉できる袋や容器で保存しましょう。