アロエ(Aloe)①
日本でも古くから民間療法に用いられてきたアロエは、現在世界でも注目を集めるスーパーフードの一つです。
「ユダヤとエジプトの不老不死の秘薬」「医者要らずの秘薬」などとも言われるアロエには、様々な秘密があります。
アロエの歴史
古代エジプト人が最初に発見したとされているアロエは、古代エジプトの医学書である「エーベルス・パピルス」にも処方が記されており、その万能薬としての歴史は約3500年前には始まっていたことが分かります。
古代エジプトで様々な利用法がなされていたアロエですが、特に今スーパーフードとして注目を集めているアロエベラは、古代エジプトに人々が栽培用に改良した品種だとされており、クレオパトラの美貌の秘密は肌に塗ったアロエだという言い伝えもあるほどです。
またアロエベラを食していたユダヤ教とエネッセ派の人々は、古代ローマ人の平均寿命が40歳に満たなかった時代に、125歳まで生きた人も珍しくなかったという記録もあります。
またアロエベラを手に入れるために戦争がなされたという記録もあります。
これらの歴史からも、アロエが「不老不死の秘薬」と呼ばれる一面が見てとれるでしょう。
日本への伝来は、鎌倉時代ごろだという記録があり、江戸時代には「盧薈(ろかい)」という名前でアロエが漢方薬として用いられていたようです。
アロエが食品や化粧品、軟膏として現在のように幅広く利用され始めたのは第二次世界大戦の頃からであり、今日では多くの研究がなされアロエの効果が科学的に解明されてきています。
特徴
アロエという名前はアラビア語で「苦い」や「苦しみ」を意味する『alloch』が由来だとされていおり、アロエの原産地はアフリカやアラビア、地中海地方であるという説があります。
現在アフリカやアメリカ大陸、アジアやヨーロッパの砂漠地帯や亜熱帯地帯に生息しているアロエ属ですが、特にアフリカの砂漠原産の多肉植物がよく知られている主要品種となります。
緑の皮を除くと半透明の葉肉部分が出現します。
無味無臭の葉肉はどのような調理法にも合わせやすいものです。
アロエの種類
一般的に呼ばれている「アロエ」とは、常緑多年草であるアロエ属の総称です。
アロエには大変多くの種類があり、現在で確認されている種だけでも500以上のものがあります。
アロエ属はアロエ科・ユリ科・ツルボラン科のいずれかに分類されますが、その中で薬効成分が発見されているものだけでも50種類以上あると言われています。
日本で古くから民間療法として用いられてきたキダチアロエをはじめ、薬用に用いられるケープアロエ、そして今最も注目されているアロエベラなどが特に薬用性が高いことで知られています。
栄養成分・効能メリット
アロエの有効成分は200種類とも言われており、これは原産地の厳しい砂漠環境でも生き抜くことができるよう、多くの栄養成分がその葉に蓄えられたためであると考えられています。
様々な働きをする多糖類
アロエの主成分である多糖類とは、たくさんの糖が繋がり様々な働きを持つ成分のことで、燃焼時間の長い炭水化物であることから、エネルギーを長時間保つことが出来ます。
アロエの摂取により除脂肪筋肉量が増えることから、減量やフィットネスにも効果的な食材です。
また多糖類は関節や脳、神経系、皮膚への潤滑効果、消化異常を正常化させ大腸炎や潰瘍の回復促進効果、また消化器官の皮膚の復元を促進する効果があることがわかっています。
さらにこの多糖類は体内でオリゴ糖に変わることで、腸内細菌の餌となり、プロバイオティクスの成分を高め、腸内細菌を活発化させることで免疫機能を向上させる効果も期待できます。
様々な病状の緩和
マウスを使った実験によると、アロエベラには関節炎などの炎症や浮腫などを抑制する強い効能があることがわかってきました。
また放射線症の緩和やガンに対する効果も研究で明らかになっています。
さらに新鮮なアロエベラには血糖値を正常化し、糖尿病の症状を緩和することがわかっています。
アロエベラの摂取により、様々な病状が回復・緩和し、特に現代病と呼ばれる生活習慣病に多くのメリットが期待できます。
皮膚の改善・美肌効果
動物や人間を問わず、アロエの皮膚ダメージに対する効果が明らかになりました。
近年の研究により、アロエがやけどや炎症に効果的なだけではなく、皮膚の老化防止や美白成分があること、また皮膚に塗布することでコラーゲン率が高まることも分かっています。
これらの美容効果により、アロエは多くの化粧品に使用されています。
- 多糖類
- アロエモジン・・・健胃作用
- アロエチン・・・殺菌作用
- アロイン・・・緩下作用
- アロミチン・・・抗癌作用
- アロエウルシン・・・抗癌作用
- アルボランA、B・・・血糖値を下げる
- ムチン・・・アンチエイジング・保湿効果
- アロエマンナン・・・皮膚の老化防止
- ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、E
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- 亜鉛
- 鉄
- セレン
- クロム
- 抗酸化物質
- 食物繊維
- アミノ酸
- 酵素
- ステロール
- リグニン・・・など
期待できるメリット
- 抗炎症作用
- 便秘改善
- 免疫力向上
- 胃腸を健康に保つ
- 血管を強く柔軟にする
- 高血圧・低血圧の改善
- 保湿作用
- 美肌作用
- アンチエイジング
- やけどの炎症を抑える・・・など
使用上の注意
アロエには、強い緩下作用(※1)や子宮収縮作用があります。
過剰摂取は避けること、また妊娠中の方や痔の疾患などが有る方は、摂取を控えるようにします。またアロエは体を冷やす効果が強いため、生理中の方や冷えが気になる方、体力が衰えている方は摂取を避けるとよいでしょう。
また幼児の食用も避けます。
(※1)緩下作用・・・腸を刺激し、緩やかに排便を促す作用のこと。
選び方
アロエは、缶詰や瓶詰め・パック加工されたものではなく、オーガニックの新鮮な葉を選ぶようにします。
加工処理されたものは、加熱が加えられており、アロエの栄養素の多くが失われてしまっているためです。
選び方のポイントは、ゲルが豊富な肉厚なもの、水々しく張りがあるもの、白い斑点のないものを選ぶようにしましょう。
アロエ製品
健康食品店やインターネットで手に入るアロエ製品には下記のようなものがあります。
- 新鮮なアロエの葉(自家栽培も◯)
- 缶詰や瓶詰めのアロエベラ
- アロエジュース
- アロエエキス
- 乾燥粉末
- 化粧品としてのアロエクリームやアロエジェル・・・など
先にも述べましたが、もっともアロエの素晴らしいメリットを享受できるのは、新鮮なアロエベラの葉です。
利用方法
生の新鮮なアロエの葉はみずみずしいゲル状で、味は少し苦みがあります。
緑の葉をカットしてゲルを取り出し、スムージーやサラダ、さしみや和物などにして食することができます。
またヨーグルトに混ぜたり、ディップやスープにしてもよいでしょう。
基本的に非加熱での調理を行い、ローフードの状態で食べるとより効果的です。
また、クコの実やローカカオなど抗酸化力の強い他のスーパーフードと合わせると、より高い相乗効果が期待できます。
可食部分を取り除いた後に外葉についているゲルは、保湿効果が高く、保湿剤として、またやけどなどの手当にも使用することができます。
保存方法
アロエは切った部分から酸化しやすいため、断面をラップで覆い空気に触れないようにしてから、袋などに入れて冷蔵庫の野菜庫で保存します。
3週間ほどは保存が可能です。
数日で食べきれる場合には、冷蔵庫ではなく直射日光を避けて室温で保存するとよいでしょう。