チョコレートの健康効果やダイエット効果などに注目が集まっています。
アンチエイジング効果、ミネラル成分、神経伝達活性化成分などの素晴らしい効能を聞くと、まるで魔法のスイーツのようにイメージされますね。
しかし注意が必要なのは、これらの素晴らしい効果は、チョコレートというよりも、原料のカカオに起因しているという点です。
そのため砂糖や乳製品、植物油脂や様々な添加物が含まれている市販のチョコレートでは、その素晴らしい効果は残念ながら期待出来ません。
ここでは、素晴らしい恩恵を享受できる魅惑のチョコレート、スーパーフードとしてのカカオについてしっかり学習して行きましょう。
カカオ(Cacao)
学術的分類:アオイ科(クロンキスト体系や新エングラー体系ではアオギリ科)
学名:Theobroma cacao
学名のTheobroma とは、ギリシャ語で「神々 (theos)の食べ物 (broma)」を意味する言葉です。「神々の」とはなんとも仰々しい名前と感じられるかもしれませんが、カカオにはその名前にふさわしいだけの長い歴史や伝説が存在します。
カカオの歴史
約4000年前から中央アメリカに自生していたと言われるカカオ。
古代のマヤ文明やアステカ文明において、神々を称える神事の捧げ物や貨幣としても使用され、特権階級しか口にすることができない神聖なものでした。
当時はカカオ豆をすりつぶして飲料として食していましたが、次第にチリやスパイスなどが加えられるようになります。
しかし現代の私達がイメージするような甘いものではなく、薬や媚薬のように使用されていたと言われています。
特徴
カカオの木は、1年を通して花を咲かせ、実をつける常緑木です。
その実はカカオポッドと呼ばれ、太い幹や大きな枝から直接ぶら下がって実ります。
カカオポッドは最初は緑色をしていますが、成熟していくと品種によって、黄色、オレンジ、赤、青や紫色などに変化していきます。
成熟期間は約5~6ヶ月ほどで、20cm程度に成長すると、カカオポッドの果実の中には種、つまり「カカオ豆」が20〜50個程度含まれることになります。
写真の断面図で白く見えているのは、カカオ豆の薄い果肉(パルプ)です。
こちらはほのかに甘く、現地農家の子どもたちのおやつになることもあります。
カカオの種類
カカオにはいくつかの品種があり、品種により希少度も異なります。
現在あるカカオの主要な品種は以下の3つです。
- クリオロ種
- フォラステロ種
- トリニタリオ種
この内最も貴重とされているのが、クリオロ種です。
しかし世界全体のカカオ市場に占めるクリオロ種の割合は1%未満とも言われており、有名なチョコレート企業でクリオロ種と謳っているチョコレートも、実際に使用されている殆どのカカオはフォラステロ種だとも言われています。
(カカオの歴者や世界への広がり、品種や使用法などは、チョコレートソムリエ資格取得講座にてより詳しく学習できます。)
栄養成分
豊富な抗酸化物質
カカオの効能として最も注目されているのが、高い抗酸化力です。
カカオには下記のような抗酸化物質が含まれています。
- カカオポリフェノール
- カテキン
- エピカテキン・・・など
これらの含有量は、赤ワインやブルーベリー、スーパーフードとして有名となったアサイーやザクロ、クコの実以上とも言われており、アンチエイジングを求める多くの方にとって大変魅力的なものです。
※抗酸化物質とは
スーパーフードを学習する上で、抗酸化物質への理解は大変に重要です。
私達は加齢に伴い、DNAがフリーラジカルや活性酸素によって少しずつ傷ついていきますが、抗酸化物質はこれらの損傷からDNAを保護してくれる働きがあります。
現代人にもっとも不足しているマグネシウム
高温の熱処理をされていない上質なカカオには、豊富なマグネシウムが含まれており、良質なアルカリ性食品の一つです。
マグネシウムの摂取には、下記のようなメリットがあります。
- 体のphバランスを整える
- 腸の蠕動運動を促進する
- 月経痛やPMSの緩和
- 筋肉の弛緩によるリラックス効果
- 体の柔軟性を高める効果
- 骨の形成を助ける働き・・・など
アメリカの最新の研究によると、現代人に最も不足している主要ミネラルはマグネシウムであるという研究結果もあるほど、私達にとって摂取が必要とされている栄養素の一つです。
これは欧米型の食事やストレスが原因とも言われています。
体にマグネシウムが十分にある状態では、血管が弛緩し血液や酸素、栄養素の流れがスムーズとなります。
反対に、マグネシウム不足は心臓麻痺などの循環器系の病気との関連も指摘されています。
良質なカカオには、現代人のマグネシウム不足を十分に解消できる量が含まれているのです。
幸せのホルモン「フェニルエチルアミン」「アナンダマイド」
チョコレートはよく「愛(LOVE)」の代名詞として用いられることがありますが、この要因の一つとしてフェニルエチルアミン(PEA)との関連性があると言われています。
フェニルエチルアミンとは、私達が恋に落ちた時に体内で生成されるホルモンなのです。
また、PEAには私達の俊敏さを高めたり、集中力をアップさせる効果もあります。
そのため学習時や運動時にカカオを口にすることはとても理にかなっていると言えるでしょう。
さらに、「至福のホルモン」とも言われるアナンダマイドも含まれています。
これは運動後に生成されるホルモンですが、カカオを食べることにより体内のアナンダマイドが長時間体内に留まることによって、気分が良い、活力に満ちたパワフルな状態を維持することができます。
その他カカオに含まれる栄養成分
- 鉄分
- クロム
- マンガン
- 亜鉛
- 銅
- ビタミンc
- オメガ6脂肪酸
- トリプトファン
- 食物繊維
- カフェイン
- テオブロミン・・・など
期待できるメリット
- 高いアンチエイジング効果
- リラックス効果
- フェニルエチルアミンやアナンダマイドによる幸福感
- 集中力や俊敏性のアップ
- マグネシウムによる血流促進効果・・・など
使用上の注意
非加熱で良質なカカオを使用する
ここまで学習してきたカカオの素晴らしい栄養効果ですが、私達がスーパーフードとしてカカオを取り入れる際にもっとも注意が必要な点として、「非加熱で良質なカカオを使用する」ことをまず最初にしっかり押さえる必要があります。
豊富な抗酸化物質や多くのビタミン、ミネラル、良質な脂質であるオメガ6脂肪酸、フェニルエチルアミンなどの栄養素は、高温加熱処理によりそのほとんどが変性し私達が利用できない形となってしまうことが研究により分かってきています。
さらに、市販のチョコレート製品は、多くの砂糖や乳製品、食品添加物や植物油脂が含まれ、含まれるカカオ成分は加熱処理したものがほんの少しと、カカオの恩恵を享受するにはあまりにも心もとないものとなってしまっています。
これらの理由から、スーパーフードとしてのカカオは良質なロー(Raw・非加熱処理)のカカオを利用するようにしましょう。
選び方
上記で説明したように、スーパーフードとしてのカカオとは、非加熱処理のローカカオがメインとなります。
さらに良質なものを手に入れるためには、可能な限りオーガニックで栽培され、安全な製法で処理されているものを選びましょう。
カカオ製品
日本で入手しやすいカカオ製品には、下記のようなものがあります。
- 生のカカオ豆
- カカオニブ(外皮を取り除いたカカオ豆を粗く砕いたもの)
- カカオ粉末
- カカオバター
- ローカカオ板チョコレート
また、海外には、殻付きのカカオ豆や果肉(パルプ)が付いた状態のカカオ、カカオペーストなどもあります。
その製品も、生(ロー)のカカオ製品を選ぶようにしましょう
利用方法
摂取目安量
カカオ豆の1日の摂取目安量の計算として、自身の体重比から割り出す方法があります。
例えば、体重が50kgの方の場合、適切な摂取量はカカオ豆換算で5〜10個、60kgの方で7〜12個程度となります。
おすすめのカカオの楽しみ方
上記でも解説していますが、カカオ製品は様々なものがあり、その楽しみ方も幅広いスーパーフードの一つです。
- ローカカオパウダーをスムージーに入れる
- カカオ豆やカカオニブをデザートにふりかける
- 他のスーパーフードとカカオニブを合わせてトレイルミックスを作る
- ローカカオバターとローカカオパウダーでローチョコレートを手作りする
詳しいレシピなどはLesson28-1を参考にしてください。
基本的にはスイーツとして使用するのがおすすめで、チョコレート好きな方は特に取り入れやすいスーパーフードでしょう。
保存方法
カカオに含まれる油脂の酸化を防ぐために、密閉できる容器や袋に入れて涼しく暗い場所で保存しましょう。冷蔵庫でもかまいません。