日本で、そして世界中で、『SUPERFOOD(スーパーフード)』という言葉がこれほど聞かれるようになったのはつい最近のことです。
しかし、スーパーフードの多くは古くから多くの人々の健康と命を支えてきました。
その名前の通り、栄養価に大変に優れた食べ物の総称として使われている「スーパーフード」という言葉ですが、日本では比較的新しい概念です。
まずは様々なスーパーフードの特徴を学ぶ前に、その定義やメリットなどを総合的に知っておきましょう。
スーパーフードとは
スーパーフードの広がりと概要
「スーパーフード」という概念は、アメリカやカナダにおいて1980年代頃はじまったとされています。
当時、食事療法を研究していた専門家や医師たちにより、「有効な成分を突出して多く含む食品」に対し「スーパーフード」という言葉が使われはじめました。
また時期を少し後にして、2000年頃からのアメリカでは「RAWFOOD・LIVINGFOOD(ローフード・リビングフード)」といった、植物を加熱調理せずに主に生や低温調理により食する食事法が流行します。
このローフード・リビングフードの調理法は、スーパーフードの大いなるメリットを活かすために最適であったことから、健康への意識が高い人達の間で、人気が高まっていきました。
スーパーフードがアメリカにおいて一般の人々にも広まっていったのは、アメリカの医師であるスティーブン・プラット氏が2004年に発表した『スーパーフード処方箋〜あなたの人生を変える14の食品』によるところが大きいとされています。
この本において、スーパーフードの定義とは、「健康によい栄養分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品」とされています。
- 抗酸化作用が高い
- 老化や生活習慣病の予防によい
- がんのリスクを遠ざける・・・etc
など数々のスーパーフードのメリットを紹介しており、さらに取り上げられている食品には、身近な野菜や果物も多く含まれています。
例えば、りんごの皮や人参の葉も丸ごと食する『WHOLE FOOD(ホールフード)』の視点や、食品に含まれる複数の栄養が体によい薬となりうる中医学にも通じる視点が盛り込まれています。
『WHOLE FOOD(ホールフード)』の考え方は、マクロビオティックの一物全体の考え方にも近く、日本人にも馴染みがあるものでしょう。
また、ローフード・リビングフード世界のカリスマ的存在ともされるDavid Wolfe氏が記した『SUPERFOOD』では、一般的な野菜ではなく、ゴジベリーやカカオ、ココナッツなどいわゆる現代の「スーパーフード」に位置づけられる素材が取り上げられています。
ここで紹介されているものは、単に栄養面で優れているというだけでなく
「ある特定の有効成分の含有量が飛び抜けて高いもの」
「ごく少量で栄養・健康成分を効率的にとれるもの」であり、
そのようなものこそが「スーパーフード」と呼ばれるものである、という見解が示されています。
スーパーフードの定義
これらのスーパーフードの歴史的広がりや先人の見解を見てわかるように、「スーパーフード」とは、はっきりと特定の食品を定義したものではありません。
そのため現在の一般的なスーパーフードの定義や認識は、一般の食品よりビタミン、ミネラル、アミノ酸といった必須栄養素や有用成分を多く含んでいる、主に植物由来の食品であることを前提として、提唱者によって異なる食品があげられています。
ここでは世界で提唱されている様々な見解を素に、下記をスーパーフードの定義としています。
スーパーフードとは
- 食品と薬(サプリメント含)の中間に当たる存在
- 食品と薬の両方の要素を兼ね備えている
- 栄養的特徴を多数保有している
この講座では、現在発見されているあらゆる科学的な研究を根拠とし、世界的にスーパーフードとして多く認識されているものを学習していきましょう。
多様な栄養価・特出した栄養成分含有量を持つスーパーフードは、全体の栄養バランスも良く、また添加物などを一切加えられていない自然の大いなる力が詰まったものです。
その摂取により私たちは様々な恩恵を享受することができます。
スーパーフードのメリット
スーパーフードが注目される理由の一つに、その驚異的な栄養成分の高さによるメリットの多さがあります。
「サプリメントや薬と、食品の中間」とも言われているスーパーフードですが、そのアンチエイジング効果や免疫力の向上、体内機能向上やデトックス効果は、薬と同じかそれ以上の効果が期待できるものも存在します。
現在次々と新しい研究発表がなされているスーパーフードの世界ですが、まだまだ発見されていない未知の力が秘められているとも考えられています。
人や科学の力が及ばない点も、ナチュラルなスーパーフードならではの魅力と言えるでしょう。
現在わかっているスーパーフード摂取によるメリットの一部には、下記のようなものがあります。
- 凝縮された栄養価を持ち、普段食べている食品よりも遥かに優れている点がある
- おいしくて満足感が得られる
- 生命力や体の活力を高める
- 免疫力を活性化させる
- セロトニンの生成量を増加させる
- 性的機能を向上させる
- 体をアルカリ化させる
- タンパク質、ビタミン・ミネラル、必須多糖類、必須脂肪酸など必要な栄養素が得られる
- 栄養を与えるだけでなく、長期的には崩れた体内バランスを修正し、より生物的に自然な状態に導く
- 理想的な体重や食習慣を取り戻すのに役立つ
- サプリメントや高額な治療、薬などが必要なくなる
- 食事量を減らしながら高い栄養価の摂取が可能
- 自然由来の食品であり、天然の栄養素が含まれている・・・etc
一般的な食品とスーパーフード
オーガニックの果物や野菜などが注目を集め、健康に気遣う方々は積極的に取り入れています。
もちろん、これらは私達にとっては大変に素晴らしいものであり、重要な食事要素となりますが、栄養価を比較すると、スーパーフードの栄養素の含有量とは比較になりません。
それは、私達が無意識に普段摂取している食事の栄養素は年々低下していると言われており、野菜自体がもつ栄養価では全然足りないことが多いからです。
また西洋化しファーストフードが浸透した現代の食事では、カロリーは十分に摂取できているにも関わらず、それ以外の栄養素が非常に不足しており、問題視されています。
私達の体は、私達が食べたもので出来ています。
本物の栄養が足りない食事では、私たちが健康で美しくなることは難しいでしょう。
だからこそ、今スーパーフードが大変な注目を集めているのです。
もちろんオーガニックの果物や野菜、ノンホルモンで抗生物質などの使用されていない飼料を食して大事に育てられたお肉や卵、天然の魚などは、私達の体を作る大いなる素材となります。
そのベースをしっかりと構築した上で上手にスーパーフードを取り入れることで、その恩恵を大きく享受することができます。
スーパーフードから得られる主な栄養素
スーパーフードから得られる主な栄養素には、下記のようなものが挙げられます。
多くのスーパーフードが質の高い多種類の栄養素をバランスよく、さらに高濃度で含有しています。
- タンパク質
- ビタミン類
- ミネラル類
- 酵素
- 抗酸化物質
- 良質の脂質
- 必須脂肪酸
- 必須アミノ酸
- 糖質栄養素・・・など
この他、スーパーフードスペシャリスト資格取得講座で学習するスーパーフードには、その素材にしか含まれていないとされている成分も含まれます。
また過酷な環境下で育った植物が持つ生命力により、一般的に流通しているものよりも特出した効果を発揮するものもあります。
また、栄養摂取だけにとどまらず、その高いデトックス効果もスーパーフードの魅力の一つです。
体の不要物をスムーズに排泄することは、栄養摂取よりも健康に寄与するとも言われています。
スーパーフードの摂取により、排便や排尿だけにとどまらず、細胞レベルでのデトックスが期待できます。
次からは、スーパーフードを摂取するのに適している人の特徴や、取り入れ方について学んで行きましょう。
スーパーフードを摂取するのに最適な人とは?
スーパーフードはナチュラルな食品であるため、どのような人が取り入れるにも適しています。
その中でも、日々何らかの不調を抱えている方、病気ではないけれど違和感を感じている方には特にお勧めです。
現代の日本では、多くのストレスや食の変化により、この「なんとなくの不調」を感じる方の割合が急激に増加しています。
これは中医学では「未病」と言われ、病気の一歩手前の状態ともされています。
未病はなんらかの体からのサインであったり、そのままにしておくことで重篤な病状へと進行する可能性もあるため、早めに対処することが大切です。
未病を感じる人が増えたことにより、「これくらいの違和感や不調は当たり前」と感じる人も多くなってきました。「この程度の不調を口にするのは我慢が足りないから」と感じてしまう方も多いようです。
しかし、朝スッキリと目が覚め、排泄がスムーズで、輝きのある肌ツヤでイキイキとした笑顔の挨拶から1日がスタートできること、日中は活力に溢れ、食事もおいしく頂け、夜はスムーズに眠れて翌朝には疲労が残っていないこと、毎月訪れる月経で不調を感じたりナーバスにならないこと、毎シーズンの花粉症やアレルギーに悩まされない生活は、正しい知識を持ち普段の生活に少しずつよい食や習慣をプラスしたり、よくない習慣をマイナスしていくことで、手に入れることができるものなのです。
下記に未病の一例をあげています。
このような不調を少しずつ改善していくことにより、本当に快適な生活や活力溢れる体を手に入れることができます。
例えば「無気力」や「鬱」につながる精神的な部分。
気力は気持ちの問題だと考える人が多いですが、実は摂取する栄養素に左右される部分が多くあります。
精神面の不調には、ホルモン生成に関わる良質な油や吸収しやすい形のアミノ酸、微量栄養素の不足が考えられます。
「アレルギー」は病気ではなく、免疫不全の症状の一つです。
腸内環境を整えること、デトックスを適切に行うことにより、免疫機能が正常化することで改善が期待できます。
「不眠症」はホルモンバランスに原因が有る場合が多く、適切な生活リズムと必要栄養素の摂取により大きな改善が期待できます。
ホルモンバランスが整うことに伴い、「ストレス」や「不快感」などの気持ちの面でも変化が見られます。
このように、普段感じている様々なトラブルには根本的な原因があり、食と生活習慣の改善により症状の好転が期待できます。
未病の症状一例
- 無気力
- 肥満気味
- 腰痛
- 頭痛
- 関節の炎症
- 肌トラブル
- 便秘
- アレルギー
- 喘息
- 慢性疲労
- 鬱などの精神系疾患
- 低血糖症
- 免疫不全
- 皮膚疾患
- 不眠症
- 自律神経の乱れ
- いいようもない不安
- ストレス
- 不快感
- その他心臓や肝臓などの重要器官の不調・・・など
各種スーパーフードについての詳しい取り入れ方は、それぞれのページやレシピで学習していきますので、ここではどのようなものを取り入れる時でも共通する点を押さえておきましょう。
スーパーフードの取り入れ方として最適なのは、「オーガニックのもの」を「生の状態」で摂取することです。
オーガニックの必要性
普段の食事などでオーガニックを意識されている方も増えてきましたが、スーパーフードは特にオーガニックや有機栽培など質の高いものを選ぶようにします。
私達の健康やアンチエイジングに大きく寄与する物質である抗酸化物質の多くは、外敵や紫外線から植物自身が身を守るために有している成分です。
そのため皮などの表面に存在していることが多く、これらの有効成分を効率的に摂取するには皮ごと摂取するのが理想的です。
そのため、栽培時に農薬や化学肥料を使用していないことが重要となるのです。
スーパーフードの多くは、それ自体に高い生命力があるため、農薬や肥料なしの栽培が可能なものが多いのが特徴です。
しかしスーパーフードのブームにより、大量生産大量出荷の傾向が見え始め、質が低下し始めているのも事実です。
しっかりと安心できる栽培法で作られているものを選ぶようにしましょう。
生の状態(RAW)で取り入れる理由
先にも少しふれましたが、スーパーフードは生食の調理法であるローフード(RAWFOOD)の発展や流行と共に、広く知られるようになったと言っても過言ではありません。
ローフードについては次のLessonで詳しく学習していきますが、まずは生で取り入れる理由やメリットなどを把握しておきましょう。
酵素やビタミンなどの多くの栄養素は加熱により変性する
スムージーやファスティングの流行とともに、多くの人に知られることとなった「酵素」。
酵素については後ほど詳しく学習していきますが、これは私達生命にとって非常に重要なものであり、健康や老化防止にも欠かせないキーワードです。
現在は従来の5大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)に加え、食物繊維・ファイトケミカル(フィトケミカル)・水、そして、酵素を入れて9大栄養素が必要と言われています。
この酵素やスーパーフードに含まれる豊富な栄養素は、加熱により変性してしまったり、失われてしまうものも多くあります。
そのため、栄養素をできるだけ壊さない形で、さらに私達の体が吸収しやすいように酵素を変性させない形で取り入れるために、ローフードはとても合理的な調理法なのです。
酵素不足では栄養素を体内で利用できない
酵素は私達の生活や生命維持に欠かせない物質であると述べましたが、酵素の働きの一つに食べたものを消化・吸収するという役割があります。
酵素が体内でしっかりと働いてくれていることで私達は食べ物を栄養素として利用できるのですが、現代の動物性たんぱく質と炭水化物中心の食事や加工食品・加熱食が溢れた食事は、消化に多くの酵素が必要となり、そのような食事を積み重ねていくと私達の体内では酵素不足が慢性化していきます。
酵素不足の状態では私たちは摂取した食べ物を十分に消化吸収できなくなり、必要な栄養素を体内で利用できなくなります。
このような状況において、野菜や果物を生で食べるローフードは、もっとも消化に負担がかからない(酵素を無駄遣いしない)食事法として注目を集めています。
消化に過度に負担がかからない食事を取り入れることは酵素不足の解消に繋がり、食事に含まれる有用な栄養素をしっかりと分解・吸収できるようになります。
そのため、私達の体に必要な栄養素を健康管理や身体作りのためにしっかりと利用することができるのです。
スーパーフードと聞くと、使い方が難しいと感じられる方が多いようです。
ここでは基本的な理論や利用法を把握しておきましょう。
基本的にどのスーパーフードをどの食事に加えても、間違いということはありません。
この食材は必ずこの食材と合わせなければならない、という絶対的な決まりも基本的にはありません。
特にお気に入りのものがあれば、それをいろいろなアレンジで楽しんでも構いませんし、スーパーフードの世界を知るために新しい物をどんどん試してみましょう。
基本的なスーパーフードの考え方と栄養素を効率よく摂取する基本理論を押さえることで、利用法は無限大となります。
具体的な利用法やレシピ、特徴などは後々説明していきますが、ここではスーパーフードの利用法にはどんな物があるのか、ざっくり例を上げていきます。
- スムージー
- ドレッシング
- スイーツ
- 主食
- ドリンク
- (トレイルミックス)携帯食品
- ハーブティー・・・など
このように、取り入れ方は工夫次第で様々な広がりを持ちます。
スーパーフードの取り入れ方は、薬膳や漢方と類似する部分もあります。
薬膳や漢方などは、普段の食事の中に効能の高い食材やハーブなどを加えていくことで、医食同源・薬食同源という考え方を大切にしています。
スーパーフードもまさにその考え方が当てはまります。
サプリメントとの違い
これらの多くの栄養素を摂取できるなどメリットの多いスーパーフードですが、全てが天然のもの、自然なものであることが特徴です。
この点が市販のサプリメントと大きく異なる点でしょう。
サプリメントにはいくつかの種類があり、現在日本で手に入りやすいもの、大手メーカーが製造しているもののほとんどは、化学合成により作られたサプリメントです。
化学合成サプリメントは一見効率よく栄養摂取ができるように感じますが、化学合成で作られた単体の栄養素を私達の体はうまく吸収することができません。
また栄養素は単体で体内で働くことはないため、吸収した後の利用効率にも疑問が残ります。
さらに、安価なサプリメントには添加物が多い点も注意が必要です。
合成物の原料には石油などが使用されている場合もあり、これは体にとって異物と判断されてしまいます。
もちろん、品質にこだわり完全天然成分のみを使用したサプリメントも存在します。
ただこちらは価格が高く、製造しているメーカーも希少なため、選び方が非常に重要となります。
また、サプリメントを飲むことによる心理的な弊害として、サプリメントに頼りがちになり普段の食事が疎かになる傾向があります。
どんなに高品質な天然サプリメントでも、それらはあくまで補助食品であり、体を作る上では普段の食生活が非常に重要です。
その点、普段の食事の中に自然に取り入れることができ、おいしく楽しみながら効率よく必要な栄養を摂取できるスーパーフードは、忙しい現代人にとって合理的なメリットのある選択だと言えるでしょう。